もはや保険ではない?予定利率引下げ後の保険はこうなった。
さまざまな相続対策に活用されてきた生命保険、
以前にお伝えしたように、多くの保険会社が今年の4月から「予定利率」を引き下げ、商品の内容に大きな影響が出てきました。
・生命保険の予定利率の引き下げが相続対策に与える影響は?
http://www.souzokushi.or.jp/sawada/1646
例えば一生涯の保障を準備できる「終身保険」。人はいつか亡くなりますので、配偶者やお子さんなど、必ず誰かが保険金を受け取れる保険商品です。
今年の3月までは、例えば500万円の一生涯の保障をするには、年齢・性別や保険商品によって多少の違いはありますが、おおむね6割から8割くらいの保険料を払えば準備することができました。大まかに言うと、300万円~400万円の保険料を払えば、500万円の保障が準備できていました、保障の効果は2割から3割といったところでしょうか。
ところが今年の4月以降は、「終身保険」で500万円の保障を準備するためには、こちらも年齢・性別・商品にもよりますが、多くの会社の商品が500万円以上の保険料を支払わなければならなくなりました。
つまり、例えば45歳の人が65歳まで保険料を支払う契約をしたとして、毎月・毎年保険料を払っていき、65歳まで500万円以上の保険料を保険会社に支払ったとしても、その人が65歳以降に亡くなった場合には500万円しか受け取れないということです。保険料を払っている間に早く亡くなれば保障の効果を得ることができますが、多くの方が65歳を迎えることになると思いますので、その場合には、準備できている保障額よりも、それまでに払った保険料のほうが多くなってしまいます。
このようになってしまった原因は、以前もお伝えしたように、保険商品の「予定利率」の引下げにあります。相続対策で言いますと、「500万円×法定相続人」の死亡保険金の非課税枠を活用しようと考えたとしても、以前より相続人の人の手元に残る金額が少なくなってしまったということになります。
今後はより利率の高い外貨建ての終身保険を販売する保険会社が増えてくることが考えられます。いわゆる「ゼロ金利政策」が継続されている間は、円建ての保険の予定利率も上がりませんので、以前のような保障効果の高い終身保険が再び販売されるまでにはもう少し時間がかかりそうです。
このページのコンテンツを書いた相続士
- 相続士、AFP
1971年東京都生まれ。FP事務所FP EYE代表。NPO法人日本相続士協会理事・相続士・AFP。設計事務所勤務を経て、2005年にFPとして独立。これまでコンサルティングを通じて約1,000世帯の家庭と関わる。
相続税評価額算出のための土地評価・現況調査・測量や、遺産分割対策、生命保険の活用等、専門家とチームを組みクライアントへ相続対策のアドバイスを行っている。設計事務所勤務の経験を活かし土地評価のための図面作成も手掛ける。
また、住宅購入時の物件選びやローン計画・保険の見直し・資産形成等、各家庭に合ったライフプランの作成や資金計画のサポートを行っている。個人・法人顧客のコンサルティングを行うほか、セミナー講師・執筆等も行う実務家FPとして活動中。
FP EYE 澤田朗FP事務所
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