地積規模の大きな宅地の評価

あけましておめでとうございます。新たな一年が始まりましたが、平成30年になり、今年以降の相続、遺贈及び贈与に関しては広大地改め地積規模の大きな宅地の評価によることとなりました。

昨年パブリックコメントが公表され、その際にコラムを書かせて頂きました。

広大地評価改正の行方

その後財産評価基本通達の改正に関する情報が示され、具体的な取扱いが示されました。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hyoka/171005/pdf/01.pdf

地積規模の大きな宅地の評価への改正の一番のポイントは、評価対象地がこの評価減の適用を受けることができるか否かが明瞭になったことにあります。今回は適用要件にスポットを当てて考察してみたいと思います。

まず地積要件ですが、これは従前の広大地に関する情報の中でも「著しく広大であるかどうかの判定」として、普通住宅地区等に所在する土地で、各自治体が定める開発許可を要する面積基準以上のものは広大地に該当することとされていました。三大都市圏なら500㎡以上、三大都市圏以外なら1,000㎡以上、但し、各自治体が条例で開発許可面積基準を別に定めている場合にはその面積によるという例外がありましたので、仮に三大都市圏において500㎡に満たなくてもミニ開発分譲用地に該当するような土地であれば広大地の適用は可能でした。

しかし、今年からの地積規模の大きな宅地は、対象地積は三大都市圏500㎡以上、それ以外は1,000㎡以上と明確化されたことで例外が一切なくなりました。従って今までミニ開発分譲として500㎡未満でも広大地に該当するケースがありましたが、地積規模の大きな宅地には該当しないこととなります。よって評価額が当然に増加することとなります。

次に地積要件を満たしたとしても、この通達の趣旨の根底には広大地同様、宅地分譲開発をする場合に発生する減価を考慮したものとなっているため、宅地開発に馴染まない次のものについては対象外となります。

①市街化調整区域に所在する宅地

但しこの地域に所在していても開発行為ができる区域であるなら除かれる、すなわち適用することができる場合がある点に注意が必要です。

②都市計画法に規定する工業専用地域に所在する宅地

③指定容積率が400%(東京都特別区の場合300%)以上に所在する宅地

容積率が高い場合、宅地開発ではなくマンション適地に該当するためこの通達で考慮するものではないという意味合いです。

 

通達を読む限り、従前の広大地との大きな違いとして、この地積規模の大きな宅地には、「開発行為を行うとした場合には公共公益的施設用地の負担が必要と認められること」の要件がありません。即ち潰れ地が生じるか否かは要件になっていない点です。

これは道路を入れての宅地開発をするのか、旗竿地としての開発をするか、今までの広大地通達の適用を巡ってしばしば見解が分かれるところでしたが、クリアになったとも言えます。したがって、地積規模の大きな宅地の要件に該当すれば、旗竿地であっても適用可能になります。また、従来の広大地では、いわゆる羊羹切りの土地も開発を要しないため適用不可とされていましたが、今後は地積規模の大きな宅地の要件に該当すれば、羊羹切りの土地であっても適用が可能になります。

なお、地積規模の大きな宅地の評価減の適用を受けるために、評価対象地が路線価地域に所在する場合、普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在することが必要となっています。

この要件を設けているのは、普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在する宅地は指定容積率が400%(東京都特別区においては300%)以上の地域に所在するものを除けば、戸建分譲用地として利用されることが標準的と考えられるという背景があります。

よって地積要件を満たし市街化調整区域、工業専用地域、指定容積率の除外要件に該当しなかったとしても、仮に評価対象地が中小工業地区に所在すると地積規模の大きな宅地の適用対象になりません。

中小工業地区は主として中小規模の工場用地として利用されることを前提としているため対象外という考え方なのですが、通常宅地分譲業者は中小工業地区に所在する宅地であっても宅地分譲用地として買い取ってくれるケースが多く見受けられます。すると今までの広大地には該当すると考えられていたものも、今後地積規模の大きな宅地には当てはまらないことになりますので、その相続税評価額が増加してしまうことになります。

よって、このケースの場合、もしその土地を売却すれば、買うのは一般には宅地分譲業者、その価格は分譲業者の仕入れ値になることから、相続税評価額はこの価格よりも上昇してしまうことも考えられます。すると、平成16年以前の広大地の時のように、鑑定評価等に基づく時価による相続税申告を検討することも今後必要になる場面は増えるように思います。

このページのコンテンツを書いた相続士

淡路 幸史
淡路 幸史
税理士、CFP、相続士
1973年東京都生まれ。1995年日本大学法学部を卒業し、翌1996年に税理士試験合格。会計事務所勤務等を経て、2003年横浜市都筑区にて税理士事務所を開業。

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