お墓の引越しは大変? Part1

我々相続士は、相続開始前の財産調査、遺言作成などの様々な準備や相続開始後の相続人確定調査、相続財産確定調査、遺産分割協議、移転登記、相続財産の活用などを各専門家とのコワークで支援していきます。つまり、相続というコアを中心に様々な周辺支援を行なっていくわけです。

終活というくくりになっている事柄でも同じで、必ずと言っていいほど相続に関係してきます。その中には「お墓」という問題があります。この問題、相続開始前にはさほど問題にはなりにくい事柄だと思いますが、家族構成などの様々な要因によっては、相続開始前から燻り始めて、相続開始後すぐに、あるいは、数年後に、問題として表面化してくることがあります。

「お墓」というのは承継者がいるからこそ継続して成り立っていくわけですが、少子化により「お墓」を承継して供養していく人が減っているのも現実です。そういった社会情勢の中、個々の問題が浮上していくのです。

一人っ子同士が結婚した場合、自分の親あるいは先祖のお墓と配偶者の親あるいは先祖のお墓の面倒を見なくてはいけません、お互いのお墓の場所が近ければ良いのですが、距離が離れているとこれまた大変なことになります。春秋のお彼岸とお盆の年に3回お墓参りに行っていたものがだんだんと回数が減り、年に1回、2年に1回、数年に1回、ほとんど行かない、となってしまう可能性もあります。

これは一人っ子同士の結婚の場合に限りません。相続人である姉妹が結婚していると、嫁ぎ先のお墓の面倒がメインになってしまい、実家のお墓の面倒が手薄になることは十分にあることです。

また、長男が祭祀承継者として相続した場合でも、実家は地方で長男の住まいは都心なんてことも十分にあることです、この場合には「お墓」の面倒をみたくても物理的になかなか難しいということになります。

このようなケースの場合考えられる手段の一つに、「改葬」という方法があります。「改葬」とは「遺骨を他の場所に移すこと」を言いますが、ここでは「お墓の引越し」と表現したいと思います。

「お墓の引越し」をするには、様々な問題や手間のかかる手続き等があり、安易にできるものではないと思いますが、当事者にとっては必要であり真剣に考えなければならない問題でもあります。

我々相続士も有効なアドバイスや支援ができると良いのですが、、、。

次回、「お墓の引越し」のする上での問題点や手続きの概要等に触れていきたいと思います。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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