寄与分に関する考察

相続人が相続を考えるとき、あるいは、遺産分割協議のとき、頭の中でモヤモヤしてくるものの一つに寄与分があります。

寄与行為をしてきた相続人は、親の面倒を看てきた、親の介護をしてきた、なのに他の相続人と均等配分もしくは法定相続分どおり、何か釈然としないという気持ちが芽生え頭の中でモヤモヤしてくるようです。

これが始まると、場合によっては、考え込んでしまって眠れない、いつもイライラしがち、などの症状が現れ、冷静な判断を元に話し合いができないということもあり得ます。
また、寄与行為をしていない相続人には、寄与行為をしてきた相続人の苦労や、このような精神状態を理解することができないのが通常です。

だから、、、揉めるのです。

寄与行為をしてきた相続人の苦労はその期間が長ければ長いほど大変なものだし、その人にしかわからない親が老化していく微妙な変化(認知機能の低下などは寄与者にとってはかなり精神的にきついようです)やその辛さがあるようです。

それは、揉めていない状態でも他の相続人に話して理解してもらえるものではありません、経験してきた者だけがわかることなのです。

しかし、悲しいかな、寄与行為をした者が他の者より寄与行為の分多く遺産を貰う寄与分に関しては、他の相続人に認めてもらえないこと多く、揉め続ける要因となります。

寄与分は原則、共同相続人間の話し合いで決めますが、それができないとき、あるいは、話し合いがまとまらないときは家庭裁判所の力を借りることになってしまいます。

共同相続人間の話し合いであれば、お互いに納得できるように自由に決めることができるので、法的な要件等を考慮せずに行うことも可能です。

しかし、家庭裁判所が入ることになると寄与分の要件を厳しく吟味されることになります。

寄与分の要件は以下のとおりとなります。

①寄与行為者が共同相続人であること

②行為自体が寄与行為であること

③その行為が特別の寄与と評価されること

④寄与行為によって被相続人の財産の維持または増加があること

⑤寄与行為と被相続人の財産の維持増加との間に因果関係があること

この中で、特に厄介なのが「特別の寄与と評価されること」です。

寄与分、難しい問題です。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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