専門家の存在理由・・・専門家と素人の違い

インターネットが当たり前の時代になってからどのくらい経ったでしょうか、知りたいことのほとんどがインターネットで調べることができるようになりました。

相続に関しても同じです。

相続に関する民法の規定や手続きに関して、インターネットで調べれば大抵のことは分かります。

相談に来られる方も予め色々と調べて準備してくる場合があります。自分の自宅の路線価を調べてきて机上論でもいいから自宅の評価額を確認したいという相談者がいたと思えば、今後の生活も考えてキャッシュフロー表を自分なりに作成したのでCFP立場から評価してほしいという相談者がいたりもします。

このように、相談を受ける立場としては結構ビックリするようなケースもあります。それだけ情報が溢れていて誰もが容易にその情報を取得することが可能な時代であるということでしょう。

取得できる情報には専門的なものもあり、知識習得という面では専門家顔負けとでも言えるくらい様々な専門的知識も習得可能です。

そのような状況下でもやはり専門家の存在というのは否定されません、いや、むしろそのような時代(情報が溢れていて誰も容易に取得できる時代)だからこそ専門家が必要なのかもしれません。

専門家以外の人は専門家並みの知識の習得はできても、「知識の運用」はなかなかできません。

例えば、相続の知識として「遺留分」というものがあります。遺留分の意味は調べればすぐに分かります(法定相続分と遺留分の区別がなかなか判断できない人もいますが)。そして、遺留分には「遺留分減殺請求」や「遺留分放棄」という制度もあります。これも意味は調べればすぐに分かります。

しかし、こういうことが起こるのです。

遺留分放棄の意味は分かった、簡単なことだ、でもこの遺留分放棄というのは実際に使うことがあるのか、必要な制度なのか、というように意味は分かってもそこまでということです。

実務を行なっている専門家なら遺留分放棄の利用方法はすぐに分かることでケースによっては大変有効な手段になることも承知しています。

また、遺留分放棄にプラスして生前贈与や相続時精算課税制度、遺言作成、不動産評価などの実務的知識を運用して有効な相続対策を行うことができます。この「知識の運用」こそが専門家と専門家でない人ととの大きな違いになります。

また、情報が容易に取得できてもその情報が必ずしも正しいとも言い切れないことがあります。

この判断はやはり専門家でないとできません。法律上は正しくても実務的にはバツということもあります、これは実務経験のない人や乏しい人には判断の難しいところです。

エセ専門家がインターネット上に知識を披露していても、表面的には間違いはないのですが、実際の相続の現場でこれをやってしまうとアウトかなと思えることもあります。ですから、インターネット上の情報は参考にして、それを確認でき、より正しい方向に舵を切るアドバイスや支援をしてくれる「本当の専門家」が必要なのです。

本当の専門家は倫理面でもしっかりしていますので、付け加えておきます。

今回は、現代のように情報が容易に取得できる時代でも、なおも専門家が必要な理由について一つの側面からですが簡単に考えてみました。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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