相続人不存在の場合の特別縁故者の制度とは

相続が開始すると通常は相続人に当然に財産の承継が行われますが、相続人がいない場合、その財産はどうなるのでしょうか。

放置されたままになるものもあるでしょう、それが昨今の空き家問題にも繋がりますが、これはまた別の機会にお話しします。

相続人がいない場合の亡くなった人の財産の行方として、一般的に知られているのが「国庫」です。世間話として「国に持っていかれちゃう」などと表現されることもあります。

しかし、相続人がいないイコール直ぐに国庫というわけではありません。相続人でなくても、亡くなった人の財産を承継することも可能です。

代表的な方法が「遺言による遺贈」です。遺言者が遺言により自身の財産を指定した第三者に遺贈する旨遺せば法律的に指定された第三者が遺産を承継することになります。

そして、忘れがち、あるいは、あまり知られていないのが「特別縁故者」です。被相続人が遺言を遺さなかった場合には、相続人不存在となり、遺産の帰属先がありません。

この時に、被相続人の遺産の承継を希望する「被相続人と縁のある人」は「特別縁故者」の制度を利用することが可能です。

ただし、注意しなければならないのは、特別縁故者に該当しそうだからといって法律上当然に権利を有するのではなくて、家庭裁判所の審判によって初めて付与される権利であるということです。特別縁故者として権利を取得しようとする人はこのこと(当然の権利ではないということ)を肝に命じておかなければなりません。

では、どのような人が特別縁故者となりうるのでしょうか。

例示として、次の①②③が挙げられています。

  • 被相続人と生計を同じくしていた者・・・長年に渡り苦楽を共にしてきた内縁の妻や事実上の養子など
  • 被相続人の療養看護に努めた者・・・被相続人の看護や身の回りの世話を続け、経済的には別個独立の生活をしていた者など
  • その他被相続人と特別の縁故があった者

以上はあくまでも例示であり、いかなる者が特別縁故者に当たるかは、裁判所の裁量に委ねられています。

そして、特別縁故者として権利を取得しようとする人は、何もしなくても裁判所から選ばれるわけではなく、権利を取得するために自ら手続きをしなければなりません。

まず第一に、「相続財産管理人の選任申立て」を行わなければなりません。

相続財産管理人が選任されると、被相続人の債務の弁済や相続人捜索の公告などが行われます。その後、特別縁故者として権利を取得しようとする人は「財産分与の申立て」を行い、その申立により審判が行われるのです。

権利を取得するには簡単ではないということです。

被相続人に相続人がなく、その人の面倒を看てきたなどの事情がある場合には、特別縁故者として権利を取得できることもありますので、手続きをとってみてもいいかもしれません。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、相続士、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続・事業承継に特化した事務所を開設、同時に、相続支援ネットにメンバー加入。「円満な相続」をモットーに、遺産分割対策支援・遺産分割協議支援など相続・事業承継支援を行う遺産分割に特化した相続士。あらゆる層の相続において問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応には定評がある。日本相続士協会理事、日本相続士協会試験委員、相続士上級養成スクール専任講師。
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