相続について考えるポイント

お盆休みのこの時期、家族親族が集まり賑やかなことと思います。こんな時ですから、相続について話してみてはいかがでしょうか、と再三お話ししていますが、今回は、その相続を考える上でのポイントと注意点を簡単にお話ししたいと思います。

巷では“遺言を書きましょう”というフレーズがあちらこちらで見受けられます、だからと言ってすぐに遺言に飛びついてはいけません、すぐに簡単に書けるものでもありませんが、遺言を書く前に相続についてしっかり考えていかなければなりません。

遺言は相続準備の手段の一つにすぎません。“相続についてお悩みですか?では遺言を書きましょう!”というようなエセ専門家の口車には乗らないように注意してください。

相続について一番大切なのは、『分け方』です。被相続人の遺産を共同相続人で「どのように分けるか、遺産の帰属先をどのようにするか」が問題になるのです。これが決まらないから争いになり、争い続けた結果、調停や審判ということになってしまうのです。争族や争続と揶揄される根本的原因です。

例えでよく言われるのが、“うちはみんな仲がいいから大丈夫”、確かに仲がいいから大丈夫な家族もありますが、仲が良くても相続となると・・・という家族が多いのも現実です。

被相続人が亡くなって相続が開始した頃は、相続人もそこそこの年齢になっていることが多く、特に子である相続人は多額の住宅ローンや教育費を抱えていることもありますし、場合によっては早期退職制度等の対象となっていて先が不安定になりつつあるなんてこともあります。

そんな時に親の遺産が入ってくるなんて棚ぼた的な収入に目が眩んでしまうなんてこともないとは言えません。ここで出てくる感情は「少しでも多くもらいたい」というものです。そこに拍車をかけてくるのが配偶者の存在です。配偶者は相続人ではありませんが、当事者意識が強い傾向がありますから、口出ししてくることもしばしば、もめる原因を作る要素となり得ます。

争族とならないための相続準備、ポイントを間違えてしまうと何のための準備かということになってしまいます。

財産目録を作成して下準備が整ったら、

1.財産内容の検討・・・分けられる財産なのか

2.どのように分けるかを検討・・・誰にどの財産を相続させるか具体的に

3.その分け方をして揉めることはないかを検討

この3点が重要です。方法としては、1人で考えるのもいいのですが、相続人である家族と一緒に考えると、各々の考えなども聞けてより良い方向に進めることができるのではないでしょうか。

その上で、必要な準備を考え、遺言作成等の方法論に入っていくわけです。遺言等の方法論ありきではないので、ご注意ください。

もちろん、上記3点を考える上でも更に大切なポイントはありますが、またの機会にお話ししたいと思います。

分け方も考えずに相続税の節税対策から入ってしまったがために、分けられない財産になってしまった、ということがないようにご注意ください。

相続は何から考えるか、入口が重要です。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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