相続は法律のみで解決するのか

相続というものはご存知の通り、様々な要素が絡み合い、仲が良かった家族にも「争い」という火種を生み、その取り扱い方によってはどうにもならないものにまで燃え上がらせてしまうこともあります。

この場合、現在の日本の法律では調停・裁判へと進み最終的には司法の手を借りて解決するということになりますが、これは本当の解決なのでしょうか。辛酸をなめる、屈服、あまり良い言葉が出てこない解決になっている当事者も多いのではないでしょうか。

では、どうすれば良いのでしょうか。

調停や裁判になる前に手を打つ、もっと言えば、争いになる前に、瀬戸際でも良いから防ぐ、それが重要です。

そのためにはどうしたら良いのでしょうか。

法律に従った形をとりますか。

民法には相続権を取得し得る者(法定相続人)とその者たちの法定相続分が規定されています。その通りに分配すれば揉めないのでしょうか。

ここで一つ付け加えておきますと、民法で規定されているというと法定相続分だけが注目されがちですが、例えば「<遺産の分割の基準>遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする(民法906条)」という規定もあります。

これは、遺産分割を行う際の分割指針を定めたものとされ、共同相続人間での遺産分割が機械的な計算による公平性だけでなく、具体的に公平性を持った分割が行われることを企図したものとされています。

また、これ以外にも特別受益の規定や寄与分の規定も民法には存在しますが、ただ、これも漠然としたものであることは否定できません。法律の素人である一般人が具体的事案に応じて法律の規定を適用しながら考えることは到底無理なことです。

では、法律の専門家に依頼すれば、具体的に法律を適用してうまくまとめることが可能なのでしょうか。それも難しいことのように思えます、杓子定規になってしまいそうですから。

結局、法律の規定に従っただけでは、争いを未然に防ぐことは到底無理なことなのです。

なぜなら、相続人である当事者たちは機械ではなく人間ですから、争いになる火種の元は『心の中』にあるからです。

人は法律だけでは納得しません。「納得するための何か」が必要になってくるのです。

「納得するための何か」は、相続の態様によって異なってきますが、共同相続人が自分勝手な考え方ではなく、中庸を得た考え方で相続に望めば、「納得するための何か」が発見できるのかもしれません。

法律の解釈だけで戦おうとしてはいけません。

もう一度だけ言います、法律の規定だけでは人は納得しません。

争わないためにはどうしたら良いのか、自分の内面との相談も必要ですし、押すだけではなく引く姿勢も必要です。

円満相続、それが目標です。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、相続士、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続・事業承継に特化した事務所を開設、同時に、相続支援ネットにメンバー加入。「円満な相続」をモットーに、遺産分割対策支援・遺産分割協議支援など相続・事業承継支援を行う遺産分割に特化した相続士。あらゆる層の相続において問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応には定評がある。日本相続士協会理事、日本相続士協会試験委員、相続士上級養成スクール専任講師。
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