相続手続きに戸籍謄本が必要な理由

相続を経験したことのある人は覚えがあると思いますが、相続手続きに必要というこうことで戸籍謄本を取得したことがあると思います。

必要だからと言われ何となく市役所に行って戸籍謄本を取ってきて出した人もいるのではないでしょうか。

ではなぜ、相続手続きをする上で戸籍謄本が必要なのでしょうか、また、「被相続人の出生から死亡まで」という条件付きで、戸籍謄本あるいは除籍謄本を用意してくださいと言われた時、どちらが必要なのでしょうか。

余談ですが、20年くらい前の話です、筆者がまだ相続の仕事をしていない頃、当時の仕事の関係で相続手続きの一部に直面し、いわゆる名義変更をしなければならない状況で、本社事務方より、「本人(被相続人)の戸籍謄本または除籍謄本を取ってもらってください」と言われ、当時何も分からなかった筆者は、「戸籍謄本または除籍謄本ということですが、どちらを取ってくるように言えばいいのですか」と聞いたところ、「ご家族に言えば分かります」という返事が返ってきました。

今思えば、この事務方の人も分かっていなかったのだなと推測できます。ご家族に言えば分かりますと言って逃げたのだと。

今現在、相続の仕事をしていて、当時の「ご家族に言えば分かります」というのは通じないというのは明白です。

話を戻します。

相続が開始して行わなければならないことは簡単に言えば、「被相続人の人生の清算」です。その中には様々な契約等の解約や停止、名義変更などの手続き、そして、被相続人が一生かけて作り上げてきた財産の帰属先を決めること、などがあります。この被相続人が一生かけて作り上げてきた財産の帰属先を決めることが、「遺産分割」となります。

この遺産分割は、遺言がなければ、法定相続人による遺産分割協議により行いますから、法定相続人は誰かを確定させなければなりません。

そんなことは一目瞭然だよ、ここにいる家族だけだよ、と言われることもありますが、遺産分割はとりもなおさず被相続人の財産を特定の相続人に名義変更することですから、その財産を管理しているもの(例えば金融機関や登記所)からみて、法定相続人は確かにこの人たちだけですね、と確認できるようにしなければなりません。

この確認を取る手段が「戸籍謄本」なのです。

まず被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せて、他に法定相続人となる者の有無を確認します。この場合の多くは、死亡時の戸籍謄本は婚姻後の戸籍であるケースが多いので、婚姻前の戸籍に遡ることが必要になります。この遡った戸籍に載っている人たちが婚姻や死亡によって全員除籍されている場合には、この戸籍は除籍簿に移されます。この時に取得する戸籍が除籍謄本となります。

一般的にはここまでの区別をしなくても、役所で取得する際に相続に使う旨話せば、必要なものを出してくれることがほとんどですから、あまり神経質にならなくても大丈夫です。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得できたら、今度はその戸籍に載っている相続人たちの各々の戸籍謄本を取得して相続人の確定となります。

この相続人の確定を、第三者がみて確認できるようにしなければならないので、その証明として戸籍謄本が相続手続きに必要になってくるのです。

相続人の関係が複雑になると(例えば、相続人が兄弟姉妹のケースや、代襲相続人がいるケースなど)それだけ戸籍謄本の取得が大変な作業になってきますので、専門家に依頼するケースも多いと思いますが、どのような理由でどの戸籍まで確認する必要があると、ちゃんと説明してくれる専門家を選ぶようにしてください。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希

行政書士、相続士、CFP

東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続・事業承継に特化した事務所を開設、同時に、相続支援ネットにメンバー加入。「円満な相続」をモットーに、遺産分割対策支援・遺産分割協議支援など相続・事業承継支援を行う遺産分割に特化した相続士。あらゆる層の相続において問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応には定評がある。日本相続士協会理事、日本相続士協会試験委員、相続士上級養成スクール専任講師。

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