相続問題…大した財産はないから、我が家はみんな仲がいいから、という理由で避けていませんか?

8月の夏休み、そしてお盆、この時期になると家族や親戚が集まる機会が多くなります。そういう時にこそ相続について家族で話をしておきましょう、という呼びかけを昨年もさせて頂きましたし、他の機関や専門家からも話が出やすい時期ではないでしょうか。

しかし、相続は関係ないと避けてしまう方も少なくありません。理由は「大した財産はないから揉めることはない」「みんな仲が良いから揉めるはずがない」というものです。中には相続という死に関係した事柄なので考えたくないという気持ちから出た言葉であることもありますが、本当にそう思って相続について何も考えない方もいるようです。また、個人的な理由(これは様々ですが)から相続について触れることを避けていることもあります。

個人的な理由は別として、「大した財産はないから」「みんな仲が良いから」という理由で相続を考えることを避けていて良いのでしょうか。

ではまず「大した財産はないから」について考えてみたいと思います。

相続で揉めるのは「多くの財産がある家」と思われている方が口にする理由ですが、「多くの財産がある家」で相続争いが起こるドラマなどを見てそれに影響を受けているかもしれません。確かに欲に目眩んだ相続人がいる場合には多くの財産を独り占めしたい、あるいは、その大半を手にしたいということから相続争いに発展するかもしれません。しかし、これは財産の多寡に関わらず起こり得る問題です。

「多くの財産がある家」では比較的相続人に財産を分割し易く、平等感を持たせた分割にし易いという傾向があるのに対して、「大した財産はない家」では相続人に財産を分配し難く、平等感を持たせた分割にし難いという傾向があります。多くのものがあれば複数人に分け易いのですが、少ないものしかない場合には複数人に分けるのは難しいということが相続でも起こるのです。

ですから、「大した財産はない家」の方が遺産分割はし難く、要因によっては揉める可能性が高いと言えるのではないでしょうか。

次に「みんな仲が良いから」について考えてみたいと思います。

仲が良ければ何か問題があっても円満解決へと繋がることはあるでしょう、しかし、各々の者が社会に出て、結婚して新しい家族を持ったとき、各々の者のバックボーンに変化が生じてきます。

相続の場合に良く言われる主なものの一つに「配偶者の存在」があります。「相続人本人が良くても配偶者が納得しない」ということもあり、相続人本人の考えや意見がだんだん変わってきてしまうというケースもあります。配偶者が納得しない理由には収入と住宅ローンの問題や教育費の問題などが関係していることも多々あります。

「みんな仲が良いから」というのは、相続のことを考えない理由としては「通用しない理由」と言わざるを得ないかもしれません。

以上、簡単にみてきましたが、相続を考えない理由というのはほとんど存在しないのではないでしょうか。

相続は関係ないと思い何も準備をしておかなければ、遺った家族の間で揉め事が発生するか、揉め事にならないように泣く者がいるか、という状況になるかもしれません。

相続、他人事ではありません、この機会にしっかり考えておきましょう。頼れる専門家を探しておくのも準備の一つと言えます。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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