無料相談の落とし穴?

相続というものは一生のうちで何回も経験するものではありません。直接的な経験でいえば自分自身の両親が亡くなったときの2回、間接的であれば配偶者の両親が亡くなったときの2回、というのは一番多いパターンではないでしょうか。多い人はそれにプラスして兄弟姉妹や叔父叔母(伯父伯母)の相続に関わることもあるでしょう。しかし、多くの場合には直接的経験は自分の両親の2回ということになることと思います。

このように経験の少ない相続が発生した場合には、ケースにもよりますが、どうすればいい?という疑問が出てくることが多々あります。

昔と違ってインターネットが発達している現代では大抵のことはインターネットで調べることができますから、相続が開始して「どうすればいい?」という疑問が出てきてもインターネットで『知識として(情報として)』知ることはできます。

しかし問題は、この「知識」を「どのように使いこなすか」ということです。又、この知り得た「知識(情報)」は本当に正しいのか、という問題もあります。

結局は、「相続の専門家」に相談しなければならない、という状況になってしまいます。

「相続の専門家」に相談するためには、紹介を除いて、自分で探さなければなりませんが、そこで活用するのがやはりインターネット検索です。

今や「相続を看板」にしている士業などは数え切れないほどたくさんいますから選ぶのに迷ってしまうことでしょう。選択の基準は各々違うと思いますが、今回は「相談無料」という選択肢について取り上げてみたいと思います。

誰に相談したら良いのか判断がつかない、当たり外れもある、だからお金をかけたくない、結果、選択肢として無料相談を行なっている近場の専門家に相談してみよう、というケースがあるのではないでしょうか。ここに「落とし穴」があります。

確かに、相談する側の都合としてはこのようなことなのでしょうが、無料相談を行なっている側の都合はどうなのでしょうか。

経験があまりないから件数を増やして経験値を上げたいので無料にしている。

あまり自信がないので有料にはできず無料にしている。

無料相談で情報を取得した後セールスをかける。

宣伝のために最初だけ無料。

など、様々な理由があると思われますが、前述した例の場合だとちょっと困ったものだと言わざるを得ません。中には、他の業務で稼いでいるから相続相談は無料という専門家もいるようですが、その場合本当に相続の専門家と言えるのか疑問です。

無料相談の全てが悪いということではありませんが、思わぬ落とし穴が潜んでいることがありますので注意が必要だと思います。

最後にひとつ例を挙げておきます。

Aさんが亡くなり子供であるBさんが相続人となりましたが、Aさんの遺産を調べたところ負債の方が多くなることが判明しました。「相続放棄」を考え、ある士業の無料相談に行ったところ、「あなたが相続放棄をするとお爺さん(Aさんの父親)に負債がいきますよ」と言われ、お爺さんに迷惑をかけるくらいなら相続放棄せずに負債を含めて相続しようと決めようとしています。

ここで問題なのは、Bさん(血族相続人第1順位)が相続放棄したら、次の相続権を有するのはAさんの父親であるお爺さん(血族相続人第2順位)ですが、このお爺さんも相続放棄をすることができるのに、その士業はそこまできっちり話さずにBさんとの無料相談を終わらせてしまったことです。(無料相談ということで手を抜いてしまったのでしょうか?)

Bさんが相続放棄できる熟慮期間の最終日は直近です。さて、Bさんの最終判断は・・・。

 

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続・事業承継に特化した事務所を開設、同時に、相続支援ネットにメンバー加入。「円満な相続」をモットーに、遺産分割対策支援・遺産分割協議支援など相続・事業承継支援を行う遺産分割に特化した相続士。あらゆる層の相続において問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応には定評がある。日本相続士協会理事、日本相続士協会試験委員、相続士上級養成スクール専任講師。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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