終活とエンディングノート

最近は一時の勢いは何処へやらというほど「終活」をテーマにした話が少なくなってきたように思えます。

一時的なブームだったのでしょうか、それとも話題にならないだけで根強く残っているのでしょうか。

筆者の個人的な見解ですが、確かに一時的なブームはあったものの、「終活」というものが世間に広まったことは確かであり、あとは個々が問題として捉えて準備できるかという話になってくると思います。「終活」の専門家というのも存在しますが、あまり陽の目をみていないような気もします。

世間では「終活」より「相続」というテーマの方が一般的となってきていますので、「相続」の影に隠れて「終活」があまり目立たなくなってきているようにも思えます。

ただここで注意しなければならないのは「終活」と「相続」はきっちりと区別するものではないということです。

「終活」には相続準備も含まれていますので「相続」と分けることはできませんし、「相続」もその準備をしていくと「終活」にたどり着くことになります。

ですから、より良い「終活」を行うためには「相続」を考えていくべきですし、より良い「相続」を考えるなら「終活」を取り入れていくことが必要となってくるでしょう。

「終活」には色々な事柄がありますが、基本的な考え方として「自分が亡くなった後、遺された家族が困らないように自分の身の回りを整理しておくこと」ということがあります。「整理する」というのは「無理矢理にでも処分する」ということではなく、処分できるものを処分する方が良いのですが、まとめたり分かりやすくしておく、そして事柄によっては自分の考えを明確にしておくということです。

「終活」で何をするのかは個人によって違いがありますが、指針の一つとして「エンディングノート」というものがあります。

「エンディングノート」に掲載されている項目を確認してその中で自分に必要なものを行なっていくというのも一つの方法です。

「エンディングノート」というのは「終活」を行う上での指針となると言いましたが、もう一つ重要な役割があります。

「記録して遺し、家族に伝える」という役割です。この役割が重要であると思います。

例えば、「エンデイングノート」の項目の中に「終末期医療」があります。これは本人が口をきけなくなった状態で医療機関からの延命治療の問いかけに対する家族の判断を助ける役割などがあります。本人の意思と考えを記録しておくことで家族は迷わずに判断することが可能となります。そして、家族間で意見が別れることがなくなりますので遺恨を残すこともなく、次に待ち受けている「相続」という問題にマイナス要素を引きずらなくて済みます。

また、「エンディングノート」の項目には「相続」の項目もあります。法的効力はありませんが、相続についての考えや希望などを遺しておくと家族の助けになることもあります。

「エンディングノート」の書き方、なんてものがありますが、「エンデイングノート」は書き方を考えるといううより「家族のために行なった終活」を結果的に記録するものと考えると、ノートを前にして筆が止まるなんてことはなくなるのではないでしょうか。

秋の夜長の読書というのがありますが、読み慣れた単行本を置いてエンデイングノートを開いてみるという時間があっても良いのではないでしょうか。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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