遺産をどうするか決めなかったら死ぬときに後悔する?

1,000人の死を見届けた終末期医療の専門家が書いた「死ぬときに後悔すること25」(致知出版)という本の中で、終末期の患者が後悔していた25の事例を取り上げて紹介しています。

その事例の一つに「遺産をどうするか決めなかったこと」という事例が挙げられています。

この本の筆者は医療の専門家ですが相続の専門家というわけではないのに的を射た内容と思えます。まず最初に、遺産と介護の問題に触れています。

そして、医療の専門家という目線でも語っているところが興味を引きます。遺産の問題が「介護意欲」に関係してくるというということです。

私たち相続の専門家ではなかなか触れない「介護意欲」という点に着目していることで患者の立場(心)を傷んでいるようにも思われます。

「介護」というものが相続、強いては遺産分割の問題に大きな影響を与えることはすでにお分かりのことと思いますが、悪影響となってしまうと「争い」に発展してしまいかねない、「争族」あるいは「争続」となりかねない、重要な要因となるものです。

「介護」というものはどうしても、主に介護をする者とそうでない者とに別れてしまいます。家族(主に子供達)が上手に平均して介護を行えれば良いのですが、実際にはそうは上手くいきません。

主に負担を受ける者とそうでない者と分かれてしまうのが現実ですが、それでも遺産の分配に関しては「平等の分配(均等割り)」を主張されるのも現実です。主に介護をしていない者にとっては均等割りの遺産分割が平等となるのでしょうが、主に介護をする者にとっては果たしてそれが平等なのかという問題が生じてきます。

主に介護をする者とそうでない者とで遺産の均等割りが濃厚になると、主に介護する者は「介護意欲が低下」し、そうでない者は「均等割に安堵」し、要介護者の親の元へ通う回数が減ってきてしまう、という状況にもなりかねません。結果、遺産を遺す親は傷つきます、後悔もします。

これがもし、親が元気なうちに遺産をどうするか、どのように分配して遺すかを決めていたら結果はどうなるでしょうか。

主に介護をする者とそうでない者とに分かれるのは変わらないかもしれませんが、それに則した分配方法を決めておけば大きな問題となることは無いのかもしれません。

ここで一つ注意点、介護をする状況を見て決めるのだけは避けたほうが良いでしょう、介護に関する貢献度によって決めると、これも争いの元になりますし、遺産の分配の決定後に態度が変わるというようなドラマのようなことがないとも限りません。

可能な限り家族と話し合った上で遺産の分配方法を予め決めて、遺言で遺しておく方法がベターではないかと思われます。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続・事業承継に特化した事務所を開設、同時に、相続支援ネットにメンバー加入。「円満な相続」をモットーに、遺産分割対策支援・遺産分割協議支援など相続・事業承継支援を行う遺産分割に特化した相続士。あらゆる層の相続において問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応には定評がある。日本相続士協会理事、日本相続士協会試験委員、相続士上級養成スクール専任講師。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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