死後事務委任契約…お一人様や親族と縁遠い人のために

自分が死んだ後のことを考えたことがありますか。縁起でもない、という方もいるのではないかと思いますが、このコラムを読んでいる方は多少なりとも問題意識を持っているのではないかと思います。

普段自分が使っている衣服や小間物類は勿論のこと、パソコン、携帯電話など自分の持ち物のほとんどは自分の死後に処分されます。

持ち物以外にも、病院の入院費などを含めた未払費用(債務)も清算されるのが通常です。

そして、自分自身は葬儀が行われ最終的には納骨埋葬されます。

しかし、これらのことは当然のことですが、自分自身で行うことはできません。通常は相続人が粛々と行い処理していくことになります。

では、相続人がいない人、いわゆる「お一人様」や、親族がいたとしても配偶者や直系卑属ではなく、傍系卑属(甥や姪)などで普段のお付き合いは全く無く住所さえも不確かな場合などのように、親族と縁遠く自分の死後のことを任せられない人の場合にはどうなるのでしょうか。

後を任せる相続人がいないからといって知人等に口頭でお願いしておいても、お願いされた知人は困ってしまいます。「私が本当にやって良いのだろうか」と。

相続人でない、親族でない第三者が亡くなった人の後片付けをするためには、「やって良い根拠」が必要になってきます。

第三者が「やって良い根拠」を作るために生前に本人と第三者が契約を結んでおくことが必要になります、「死後事務委任契約」です。

「死後事務委任契約」を結び、契約条項として挙げておく主なものは、①遺体の引き取りに関する手続事務、②通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務、③永代供養に関する事務、④医療費・施設入所費用等の生前債務の支払いに関する事務、などになります。その他、必要な項目は当事者間で確認して列挙しなければなりません。

何をするのか(委任事務項目)と費用負担など詳細に決めていかなければならないことがあり、一般素人の方では難しい作業になりますので専門家に相談をして作成したほうが良いでしょう。

この「死後事務委任契約」は前述したように亡くなった後の片付けのためのものですから、お一人様や親族と縁遠い人の場合は、ご自身の人生の最終段階のための準備はこの「死後事務委任契約」だけ締結しておけば大丈夫というわけではありません。しかも、その準備をするためには「まだ早い、縁起でもない」と言っているぐらい元気なうちでなければなりません。

少しでも気にかかるという方は、元気なうちに専門家にご相談ください。

 

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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