権利の主張と譲り合い…円満相続となるか?

相続はよく争族や争続と揶揄されますが、何故でしょうか、それはご存知の通り相続をきっかけに家族間親族間で争いが起こり得るからです。普段は何ら争うことなく平凡な日々を過ごしていたとしても相続という特殊な出来事をきっかけに争いに発展していってしまう特殊現象とも言えることだから敢えて揶揄されてしまうのかもしれません。

相続には様々な局面がありますが、なかでも争いの場となるのが遺産の分け方を決める遺産分割協議です。被相続人の遺産を誰がどのようにどれくらい取得するか共同相続人全員の話し合いで決めるものです。

このとき、各相続人には被相続人との様々な出来事や思い出が走馬灯のように思い出されながらも各々の現在の事情などもあり、様々な思惑が交錯していきます。

そして相続人としての権利の主張が始まるのです。権利の主張が始まるとすでに遺産は被相続人のものではなくなり権利を主張し合う共同相続人のものになってしまうのです。少しでも多く、少しでも有利なように、少しでも自分の思うように、と権利の主張は欲という化け物に変わっていきます。

自分が他の共同相続人より多いか有利な状態ときは不平不満は出ませんが、その逆だと不平不満が出てきてしまいます。

被相続人の築いた遺産をありがたく引き継ぐという気持ちは失せて、他の共同相続人と自分とを比べる気持ちが優先してしまいます。

こうなってくるとお互いに一歩も引けない状態となり遺産分割協議は不調に終わり、誰かが引かないと前に進まない、しかし、誰も引かない、という膠着状態となりどうにも手がつけられなくなってしまうのです。

遺産分割の話し合いでの各相続人の口が災いして、多い少ないの問題じゃないあいつだけは許せない、なんて話も出てきてしまい勘定問題が感情問題になってしまうのです。

遺産分割協議が上手くまとまらないと調停、審判へと発展しまい家庭裁判所の手を借りなければ決着が付かないということになります。そうなると時間もお金も使い、みんなが疲弊してしまい、悪い感情としこりだけが残ります。争った者同士の間柄は修復も難しいでしょう。

色々と悪いことばかり述べてきましたが、相続における遺産分割協議で揉めるか揉めないかは共同相続人全員の考えや気持ち一つで変わってきてしまいます。

共同相続人全員が権利の主張ばかりだと収まるところがありません。例えば、道の合流地点でメイン道の走行車と脇からメイン道に入ろうとする走行車が並走状態になった時にお互いに譲らず自分が行くことだけを主張すると(いわゆる鍔迫り合いになってしまうと)車同士がぶつかり交通事故になります、場合によっては大事故になることもあるかもしれません。

相続でも同じです、権利の主張ばかりだと鍔迫り合いとなり事故(争い)となります。

言いたいことを言わずに黙っていろということではなく、話し合いですから、言いたいことを言っても相手の言うことにも耳を貸し、お互いに冷静に考えるということが必要なのです。

認めるところは認め、引くところは引く、という気持ちが共同相続人全員にあれば、収まりどころを探すことも可能なのではないでしょうか。

遺産は奪い合えば足りなくなりますが、譲り合えば余ることもあります。

考え方、気持ちの持ち方一つで変わることもあります。

相続における遺産分割の場は争いの場ではなく、被相続人の財産をありがたく引き継ぐ場です、円満に終わらせたいものです。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続・事業承継に特化した事務所を開設、同時に、相続支援ネットにメンバー加入。「円満な相続」をモットーに、遺産分割対策支援・遺産分割協議支援など相続・事業承継支援を行う遺産分割に特化した相続士。あらゆる層の相続において問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応には定評がある。日本相続士協会理事、日本相続士協会試験委員、相続士上級養成スクール専任講師。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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