遺言作成の遺言事項のポイントとは

 遺言を作成する際、「遺言者の遺産となる財産をどのように分けるか」ということを考えることから始まると思いますが、これが『相続分の指定』という遺言事項で、遺言事項とは”法的効力”を有し遺言の根幹を成すものです。

遺言事項は法的効力を有するために法律で決められたものに限定されています。

 今回は遺言事項の中でも代表的なものについてポイントをお話しさせて頂きます。

 一般的にご家族がいる場合、遺言事項で根幹となるのは『相続分・分割方法の指定』です。これが無いと遺言作成の意味がありませんから必ず記載する内容です。

「誰にどのくらいの財産を相続させるか」という内容ですが、ここで気を付けなければならないのは、特別な場合を除いて、相続分の指定を分数的割合で指定しないということです。法定相続分を考えると”2分の1”や”4分の1”といった分数的割合が出てきますが、遺言でこのような分数的割合指定をしてしまうと、その割合になるように共同相続人間で話し合わなければならなくなり、争い防止のための遺言作成のはずが、争い事の原因になりかねません。

遺言事項として法定相続分の割合変更の指定(例えば法定相続分4分の1を3分の1にする等)も可能ですが、この場合も同じことが言えますので、実務的には避けたほうがいいでしょう。

ではどうするか、原則として、何を誰に相続させるかを具体的に指定するのです。

相続で揉める原因は「遺産の分け方」ですから、遺言でその「分け方」を具体的に指定しておくことに遺言の「争族」防止の意義があります。

遺言事項の中で「相続分・分割方法の指定」と関係して重要なものとして「補充遺言(予備的遺言)」と「遺言執行者指定」があります。

相続分の指定を受けた相続人が遺言者より先にあるいは同時に亡くなった場合、当該指定遺産をどうするか指定していないときは、その遺言事項は失効扱いとなり遺産分割協議の対象となるのが原則です。このようなことを防ぐためには当該相続人が相続開始前(あるいは同時)に亡くなったときにどうするかを明確にしておくことです。当該相続人が相続開始前(あるいは同時)に亡くなった場合には代襲相続人に相続させる旨の「補充遺言(予備的遺言)」を記載しておくのが良いでしょう。

遺言を作成することは、ある意味法的効力のある書類を作成するようなものですから、一般の方でもなんとかなります(自筆証書遺言の作成ができます)が、相続開始時に遺言の内容を実現させるための執行実務はなかなか難しいのではないかと思います。このような場合には”相続の専門家”を「遺言執行者」として指定することも考えておかなければなりません。

 相続人がいない「おひとり様」のケースや一次相続時には相続人がいてもその後は途絶えてしまうようなケース(例えば「おふたり様」)では、「遺贈」という遺言事項を利用して自分の財産の行方を決めておくことができます。「遺贈」とは「遺言による贈与」という意味で、遺言によって第三者に自分の財産を贈与するということになります。

「遺贈」の場合には贈与を受ける者(受遺者)は法定相続人ではないので、手続きを円滑に進める上でも前述した「遺言執行者の指定」をしておく必要があります。

簡単ですが、遺言作成時の「遺言事項」の代表的なポイントについてお話しさせて頂きました。

実際に遺言を作成する際に思い出して頂ければ幸いです。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続・事業承継に特化した事務所を開設、同時に、相続支援ネットにメンバー加入。「円満な相続」をモットーに、遺産分割対策支援・遺産分割協議支援など相続・事業承継支援を行う遺産分割に特化した相続士。あらゆる層の相続において問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応には定評がある。日本相続士協会理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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