配偶者と子供が相続人の場合の遺産分割

相続開始後の相続人となる者の組み合わせとして最も多いのが、「被相続人の配偶者と被相続人の子(直系卑属)」のパターンです。

一般的な家庭でいえば”一次相続”でのパターンです。

この場合、遺産分割を考える上で法定相続分だけでいえば、配偶者2分の1、子供2分の1(子供が複数人いる場合にはさらに均等割)ということになります。

遺産分割のための相続分を考えるには、各家庭環境や親子関係等様々な要因が関係してくることは間違いありませんが、遺言による指定がない場合には、配偶者と子供で話し合いをして決定することになります。

このときに押さえていかなければならないのポイントとしては、

1.今後高齢となっていく遺された配偶者の生活基盤の確保

2.二次相続のときにどうなるのかを見据えた分割

3.相続税の問題

などがあります。

可能であれば、

4.として、1.に付随して介護の問題も考慮して2.の二次相続を見据えた分割を考えていただければベターかと思います。

まず、1.の配偶者の生活基盤の確保ですが、持ち家等の不動産があるのなら所有権を確保して最期まで安心して生活できる環境を維持することが重要であり、かつ、遺産の中の預貯金等の分割を考える上で生活費の確保ということも忘れてはいけません。つまり、遺された配偶者が生活していくのに困らないように考えて下さいということです。

万が一、子供が相続分を強く主張した場合には、生活基盤となる不動産の売却等も考えなければならない事態になり得ますので注意が必要です。

(4月以降に施行される「配偶者居住権」については、今回は省いて考えます)

2.の二次相続を見据えた分割とは、将来必ず訪れる二次相続のときに困らないように一次相続の時点で考え得る状況を想定して、一次相続の分割を考えるということです。

例えば、一次相続後に遺された配偶者の住居(子供にすれば実家となる家)で長男等が同居して親の面倒を看ていくとなった場合に、実家となる家の相続に関して、配偶者100%所有にするか、配偶者と同居する長男等と50%ずつにするか、などの方法によると思いますが、このときに、同居する長男等が二次相続後もその家に住み続けるのか否かということが問題になります。住み続けないのであれば、二次相続時に当該不動産を売却して配偶者の持分相当を分ければいいのでさほど問題にもなりませんが、二次相続後も住み続けるというのであれば、一次相続時の持分割合を検討したり、代償金の交付を検討・準備したりしなければなりません。

また、同居するということは前記した4.の介護の問題も関係してきますので、その点、同居しない相続人の介護への関与度や関与しない場合の「その代わり」となるものなど、予め話し合っておくことも重要です。

3.の相続税の問題ですが、税理士さんの中には、分け方によって相続税が大きく変わってしまうので相続税を考慮した分割方法を選択すべきと主張する人がいますが、ちょっと誤解を招く言い方ですね。

ケースによって分割時に相続税も考慮しなければならないというのは、主として「配偶者の税額軽減」にあぐらをかかないということです。「配偶者の税額軽減」を利用としてそれに沿った形で遺産分割をしてしまうと二次相続で揉める原因となったり、思いがけない相続税の負担となったりすることがあります。

以上、押さえておくポイントをいくつか挙げましたが、相続は百人百様というくらいに各家庭・家族によって変わってきます。

遺された配偶者というのも後婚の場合ですと、前婚の子供との関係で複雑にもなります。

そういった中で、どのように中庸を得た分割にしていくかということが重要となります。

配偶者と子供が相続人となるケースでも難しい問題が発生することもあります。

先送りにしないで早めの対処が重要です、専門家の力を借りすることも選択肢の一つとしておくと良いでしょう。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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