戸籍の振り仮名制度

 相続支援業務において、戸籍の取得と読み込みは重要な作業となります。

 今回、戸籍法の一部改正を含む「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」が、令和5年6月2日にに成立し、同月9月に公布されました。

令和7年5月頃施行の予定となります。

 この改正法の施行により、従前は戸籍には氏名の振り仮名は記載されず、戸籍上公証されていませんでしたが、戸籍の記載事項に氏名に加えて、新たにその振り仮名が追加記載されることになりました。

 戸籍に氏名の振り仮名が記載されるメリットとして打ち出されている事項が以下の3つです。

①行政のデジタル化の推進のための基礎整備→行政機関等が保有する氏名の情報の多くは漢字で表記されており、同じ漢字でも様々な事態があるほか、外字が使用されている場合には、データベース化の作業が複雑で、特定の者の検索に時間を要していたところ、氏名の振り仮名が戸籍上一意に特定されることで、データベース上の検索等の処理が容易になり、誤りを防ぐことができるようになる。

②本人確認資料としての利用→氏名の振り仮名が戸籍に記載されることにより、住民票の写しやマイナンバーカードにも記載できるようになり、本人確認資料として用いることができるようになるほか、正確に氏名を呼称することが可能な場面が多くなる。

③各種規制の潜脱防止→金融機関等において氏名の振り仮名が本人確認のために利用されている場合があるところ、複数の振り仮名を使用して別人を装い、各種規制を潜脱しようとするケースがあったが、氏名の振り仮名が戸籍上一意に特定されることで、このような規制の潜脱行為を防止することができる。

 戸籍に氏名の振り仮名を記載するには、原則として届出をする必要があります。ただし、この制度開始後に出生や帰化等により、初めて戸籍に記載される者については、出生届や帰化届等の届出時に併せてその振り仮名を届け出ることになります。

 改正法の施行日後1年以内に限り、氏名の振り仮名の届出をすることができ、この届出が受理されれば、届け出た氏名の振り仮名が戸籍に記載されます。

 届出にはついては、「氏の振り仮名」の届出と「名の振り仮名」の届出を行う必要があり、それぞれ届出をすることができる者が異なります。

 「氏の振り仮名」の届出は、原則として戸籍の筆頭者が単独で届け出ることになります。筆頭者が除籍されている場合は、その配偶者、その配偶者も除籍されている場合は、その子が届出人となります。

 「名の振り仮名」の届出は、既に戸籍に記載されている者がそれぞれ届出人となります。

 届出先は、本籍地または所在地の市町村に行うことになります。

 戸籍の振り仮名制度に関して、本籍地の市町村長が戸籍の氏名に振り仮名を記載する前提として、住民票において市町村が事務処理の用に供するため便宜上保有する情報等を参考に、本籍地の市町村長から、氏名の振り仮名に関する情報(戸籍に記載される予定の氏名の振り仮名)を通知することとし、この通知は、改正法の施行日から遅滞なく送付することとしています。 

 改正法施行日から1年以内に届出がない場合には、本籍地の市町村長が管轄法務局長等の許可を得て、改正法の施行日から1年を経過した日に、氏名の振り仮名を戸籍に記載することになります。この場合には、事前に通知した振り仮名を記載することになるようです。

 戸籍とういものは普段生活ではあまり関係のないような感じがするものですが、いざ、大切な手続きを行う場合には基本となる重要な事柄となります。

 「戸籍の氏名の振り仮名」に関する通知が届きましたら、しっかりと内容を確認し、速やかに届出を行っておきたいものです。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希【プレミアムメンバー】
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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