改葬を考える

相続を考える上でお墓の問題は付いて回る可能性が高いものです。
お墓の問題は相続開始前にはさほど問題にはなりにくい事柄かもしれませんが、家族構成などの様々な要因によっては、相続開始前からくすぶり始めて、相続開始後すぐに、あるいは、数年後に、問題として表面化してくることがあります。
「お墓」というのは承継者がいるからこそ継続して成り立っていくわけですが、少子化により「お墓」を承継して供養していく人が減っているのも現実ですし、昔と違って長男が必ずしも祭司承継者となるわけではないということもあります。そういった社会情勢の中、個々の問題が浮上していくのです。
一人っ子同士が結婚した場合、自分の親あるいは先祖のお墓と配偶者の親あるいは先祖のお墓の面倒を見なくてはいけません、お互いのお墓の場所が近ければ良いのですが、距離が離れているとこれまた大変なことになります。春秋のお彼岸とお盆の年に3回お墓参りに行っていたものがだんだんと回数が減り、年に1回、2年に1回、数年に1回、ほとんど行かない、となってしまう可能性もあります。これは一人っ子同士の結婚の場合に限りません。相続人である姉妹が結婚していると、嫁ぎ先のお墓の面倒がメインになってしまい、実家のお墓の面倒が手薄になることは十分にあることです。
また、長男が祭祀承継者として相続した場合でも、実家は地方で長男の住まいは都心なんてことも十分にあることです、この場合には「お墓」の面倒をみたくても物理的になかなか難しいということになります。
このようなケースの場合考えられる手段の一つに、「改葬」という方法があります。「改葬」とは「遺骨を他の場所に移すこと」を言います。
「改葬」をするには、様々な問題や手間のかかる手続き等があり、安易にできるものではないと思いますが、当事者にとっては必要であり真剣に考えなければならない問題でもあります。
「改葬」をするには様々なことを考えていかなければなりません。現在のお墓を管理しているお寺との関係や引越し先のこと、先祖代々続くお墓の場合には関係する親族のこと、そして、手続きや費用のことなどです。
お寺との関係で問題となるのが、改葬に関する費用を請求されることです。一般的に「離檀料」や「墓地代」などという言葉で表されるようです。お寺によって金額設定も色々で相場があるわけではありませんから、100万円や200万円を超えることもあるようです。お寺とのお付き合いが薄い人の場合はビックリするのは当たり前ですね、いきなりこんな金額を言われては。最初からじっくりと相談する姿勢が必要なのかもしれません。こういったお寺とのお付き合いに関しては親から子へしっかりと引き継がれていかなければなりません。何も知らない子たちは不便だから近くに改葬しようなどと安易に考え、いざ手続きを取ろうした時にトラブルになる、ということではないでしょうか。その他、引越し先はどこにするかということも大事なことですし、親族が関係してくることもあります。お墓を引っ越すことを一言親族のキーパーソンとなる人に伝えておけば良かったのに、伝えずに実行してしまったことで後々トラブルに巻き込まれるなんてこともあり得ます。
そして、一般の人にはサッパリ分からない手続きや費用のこと。手続きを進める上では、最初にどのような改葬をするか決めることです、遺骨だけ全て移転するのか、遺骨と共に墓石も含めて丸ごと全部移転するのか、永代供養墓にするのか、などです。どのような改葬にするか決まりましたら、次は行政手続き等が必要になってきます。どこに引っ越すかが決まりましたら、その引越し先から「墓所使用承諾書」又は「受入証明書」を発行してもらい、「改葬許可申請書」を作成し、現在お世話になっているお墓の管理者の署名捺印をもらいます。その後、市区町村で「改葬許可申請書」、「墓所使用承諾書」又は「受入証明書」を提出することにより、「改葬許可証」が交付されます。これでやっと閉眼法要などを行ない遺骨の取り出しができて新しいお墓へ引っ越すことができます。
「改葬」と言葉は簡単ですが、不慣れな素人がやろうとするととんでもないことになりそうな気もします。やはり、その道の専門家やお寺や霊園などお墓の管理者にまずは相談をしてから進めていくべきでしょう。
お墓を持っていない人はこれからどうするかという問題も頭の痛いところですが、最近では、樹木葬なども一般的になってきていて、更に、ペットと一緒に入れるなんてお墓も増えてきました。
お墓を承継する人がいない場合に考える永代供養墓も増えてきているようです
昨今、お墓を考える上では、様々な選択肢が増えてきていますので、しっかり調べて考えていきたいものです。
このページのコンテンツを書いた相続士
- 行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所
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