手法ありきの相続対策に注意
ここ数年、猫も杓子も相続と言い始め、相続ビジネスへの参入が急増しています。その中で目立つのが、手法ありきの相続対策を謳う専門家と称する人たちです。相続を考える上では、まず、本人や相続人の話をじっくり聞く必要があります。
相続対策の代表格として遺言作成がありますが、一般的なケースとしては遺言を作成すべきであるにもかかわらず、相続人もその必要性を感じながらも、そこに秘められているその人だけの負の作用が大きくて、本人に遺言作成を強く頼めない、なんてケースもあります。このような場合、遺言作成すべき、という原則論は通すべきではありません。
相続対策としての手法は数多くあります、それはあくまでも方法論であって、その方法論が先行してしまっては絶対にいけません。しかし、残念なことに、方法論を先行させてしまう人たちがいます。その人たちはその方法を販売することを目的として相続を手段として利用しているということも多々あります。
特に最近話題に上りがちな民事信託に関しては勉強してみていい内容だと飛びつき相続対策手法として提案してしまう、ここで問題なのは、机上理論だけで進んでしまうという人が多いということです。
誤解しないでいただきたいのは、遺言や民事信託がダメと言っているのではないということです。最初から手法ありきではダメということです。経験の浅い人ほど手法に走る傾向にあります。
手法ばかりが頭にあり、大局を把握することができないのが原因かと思われます。まずは、相談者が何を求めているのか、話をじっくり聞いて大局を把握するのが大原則です。今回は、手法ありきの相続対策に警鐘を鳴らす意味で書かせていただきました。
このページのコンテンツを書いた相続士
- 行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所
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