「地目」ってなんだ?

土地には人間の戸籍と同じように「地籍」があり、今まで誰が所有者だったのか、相続や売買等によってどのように所有者が変わり現在に至るのかを「登記事項証明書」(いわゆる登記簿謄本)で確認できます。

「登記事項証明書」の中には様々な情報が掲載されていますが、その土地がどのように利用されているのかを記載した「地目」という項目があります。またそれとは別に、相続税の土地評価において、相続発生時にその土地がどのように利用されていたのかによって、評価額が大きく変わってくる「利用区分」というものがあります。

今回は、土地の利用形態を示すものとしては似ていますが、実際には意味合いが似て非なる「地目」「利用区分」のうち、「地目」についてお伝えします。

 

■「地目」ってなんだ?

土地の登記については「不動産登記法」によって、土地の所在・地番・地積、登記原因(相続なのか売買なのか等)やその日付・登記した年月日等を登記することになっていますが、その中に「地目」も含まれています。

地目はその土地の現況や利用の目的・主な用途によって、細かく種類が分けられています。不動産登記法の下位に「不動産登記令」があり、さらにその下位に「不動産登記規則」があり、99条に地目についての条文があります。

 

(地目)

第九十九条  地目は、土地の主な用途により、田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園及び雑種地に区分して定めるものとする。

 

……、いくつの区分があるか数えてみましたでしょうか。全部で23の区分があったと思います。つまり、日本の国土のすべては上記の23の区分によって分けられ、法務局に登記されているということです。ただ、私はお目にかかったことがありませんが、実際には土地が存在するのにも関わらず、登記がされていない「登記漏れ」の土地も一部存在するということです。

この23ある地目についてですが、実際の相続の現場においてお目にかかるのはごくわずかの種類となります。

一番目にするのは「宅地」、ここでいう宅地というのは、居住用の土地に限らず工場や商業施設、店舗や事務所などの用地も含まれます。「建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地」と、「不動産登記事務取扱手続準則」の第68条で定められています。

 

他に目にするのは「田」「畑」「公衆用道路」でしょうか。どの地目にもあてはまらない「雑種地」も多くお目にかかります。また以前地主さんの土地で「用悪水路」を確認しました。隣接する土地としては「学校用地」「鉄道用地」「公園」などに出くわすこともあります。

この地目というのは固定資産税等にも影響があり、課税上の土地の評価(国税・地方税)は地目によって違ってきます。ただ評価上の地目(課税地目)は現況によって決まりますので、たとえば登記上の地目が山林であっても現況は山林を切り開いて住宅が建っている状態であれば、課税は宅地として行われることになります。このように現況の土地の利用方法が登記簿上の地目と異なっている場合には、地目の変更(更正)をしなければいけないことになっています。

 

このように、日本全国の土地は不動産登記法をはじめ関係法令・規則・準則によって、それぞれの地目ごとに登記されています。

このページのコンテンツを書いた相続士

澤田 朗
澤田 朗
相続士、AFP
1971年東京都生まれ。FP事務所FP EYE代表。NPO法人日本相続士協会理事・相続士・AFP。設計事務所勤務を経て、2005年にFPとして独立。これまでコンサルティングを通じて約1,000世帯の家庭と関わる。

相続税評価額算出のための土地評価・現況調査・測量や、遺産分割対策、生命保険の活用等、専門家とチームを組みクライアントへ相続対策のアドバイスを行っている。設計事務所勤務の経験を活かし土地評価のための図面作成も手掛ける。

また、住宅購入時の物件選びやローン計画・保険の見直し・資産形成等、各家庭に合ったライフプランの作成や資金計画のサポートを行っている。個人・法人顧客のコンサルティングを行うほか、セミナー講師・執筆等も行う実務家FPとして活動中。

FP EYE 澤田朗FP事務所

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