42条2項道路とは?

前回のコラムから間があいてしまいましたが、前回は建築基準法第42条で定める「道路」についてお伝えしました。

・建築基準法の「道路」にはどんな種類が?

http://www.souzokushi.or.jp/sawada/2149

これに該当しない道路は日本中にたくさんあります。その場合には道路として認められないのか、またその道路に接している敷地には新たに建物が建てられないのかというとそうではありません。代表的なものとして「2項道路(みなし道路)」がありますので、どのような道路なのかを確認していきましょう。

 

  • 42条2項道路‥‥「この章の規定が適用されるに至った際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートルの線をその道路の境界線とみなす。ただし、当該道がその中心線からの水平距離二メートル未満でがけ地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合においては、当該がけ地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離四メートルの線をその道路の境界線とみなす。」

 

こちらは、建築基準法が施行された時にすでに建築物(建物)が建っていた幅員4メートル未満の道路で、「2項道路」「みなし道路」と呼ばれているものです。イメージとしては、大きな道路から一本奥に入ったところにある、路地裏の狭い道路です。

私の住んでいる足立区は、区の中央に大きな幹線道路が東西・南北に2本走っているのですが、その道路から少し奥に入ったところには、まだまだこの2項道路が多く残っています。

 

2項道路に接している土地については、今後新たに建築物を構築する場合には道路の中心線から2メートル後退した線が道路と敷地の境界線とみなされます。これがいわゆる「セットバック」です。建築基準法には地区の再開発の促進やその整備のほか、その地区の防災整備の目的もあります。

火災や大災害の時には2項道路は幅員が狭く、消防車や救急車などの緊急車両が行き来できないほか、乗用車が2台すれ違うこともできない場合もあります。このような道路を長い年月をかけてできるだけ無くしていこうというのがセットバックの目的でもあります。

 

建物はやがて老朽化し建て替えが必要となる時が来ます。建築基準法施工時に2項道路に接している土地に建っていた家屋もいつかは建て替えの時期がやってきて、その時にはセットバックが行われ、それがそれぞれの土地で行われれば、いずれ2項道路は幅員が4メートル以上になるという理屈になるのですが、まだ幅員4メートル未満の2項道路が全国各地に存在し思惑どおりに進んでいないというのが現状です。

 

なぜ進んでいないのか?こちらについては次回お伝えしたいと思います。

このページのコンテンツを書いた相続士

澤田 朗
澤田 朗
相続士、AFP
1971年東京都生まれ。FP事務所FP EYE代表。NPO法人日本相続士協会理事・相続士・AFP。設計事務所勤務を経て、2005年にFPとして独立。これまでコンサルティングを通じて約1,000世帯の家庭と関わる。

相続税評価額算出のための土地評価・現況調査・測量や、遺産分割対策、生命保険の活用等、専門家とチームを組みクライアントへ相続対策のアドバイスを行っている。設計事務所勤務の経験を活かし土地評価のための図面作成も手掛ける。

また、住宅購入時の物件選びやローン計画・保険の見直し・資産形成等、各家庭に合ったライフプランの作成や資金計画のサポートを行っている。個人・法人顧客のコンサルティングを行うほか、セミナー講師・執筆等も行う実務家FPとして活動中。

FP EYE 澤田朗FP事務所

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