認知症基本法が制定されました、その前に・・・

 私たち相続士は相続業務をメインとして、その周辺業務に係る支援をしていきますが、その中で避けることのできない問題として「認知症」の問題があります。

 令和5年7月に「認知症基本法」が制定されました。この法律の概要をお話しする前に、「認知症」について確認しておきたいと思います。

認知症とは、「脳の神経細胞の死滅や破壊により、記憶、思考、感情などをコントロールする機能に不具合が生じることで様々な障害が起こり日常生活に支障が表れている状態」のことを言い、以前は「痴呆」と呼ばれていたものを2004年に「認知症」に改称されました。

認知症には中核症状と言って認知症の基本的な症状がいくつかあります。

新しく記憶することが困難になっていき、症状が進行すると覚えていたはずの記憶も失われていく「記憶障害」、記憶障害と並んで早くから現れる症状で、時間や季節の感覚が薄れていき、症状が進行すると方向感覚が失われ迷子になったりする「見当識障害」、計画を立てて実行することが困難になっていき、作ろうとした料理の材料を買ってきて完成させることが難しくなったりする「実行機能障害」、その他、先行・失語・失認といった症状があります。

周辺症状として、食物でないものを食べる「異食」、必要以上の量を食べる「過食」、食べなくなる「拒食」、実際に無いものが見えたりする「幻視(幻覚の症状の一つ)」、一人で外出し目的もなく歩き廻り帰れなくなる「徘徊」、自信を失って意欲や気力が低下する、などが挙げられます。

 認知症の代表的なものに、「アルツハイマー型認知症」、「脳血管性認知症」、「レビー小体型認知症」、「前頭側頭型認知症」があります。

日本人で一番多いのは、アルツハイマー型認知症で、脳細胞が死滅して情報ネットワークが壊れるアルツハイマー病が原因で発症するもので、記憶障害や見当識障害が早くから出ることが多い認知症の一つです。

 認知症といってもまだ完全な認知症ではない、認知症の入口とでもいう症状が「MCI(軽度認知障害)」です。

「MCI」とは、認知症と診断できるほどの認知機能の低下はみられないが、年齢などからでは説明できない認知機能の低下がみられる状態といわれています。

「物忘れ」ということで考えると「老化による誰でも起こる物忘れ」なのか、「認知症による物忘れ」なのか、例えるなら「老化という道を歩く」のか、「認知症という道を歩く」のか、その後の進行の具合が全く違ってしまいます。

「MCI」という症状はまだこの段階であれば「認知症という道」に入らずに「老化という道」に戻ることが可能であるといわれています。ですから、「MCI」という症状の段階で発見して適切な処置を施すことが大変重要なことになります。

痛い・気持ち悪い・フラフラするなど一般的な病気は自覚症状が出てきますので、本人が対処できますが、認知症の場合は本人が気づかず自ら対処できないということが最大の問題です。

ここ数年、介護老人施設等が急激に増えています。残念ながら問題ありと思えるような施設もまだまだあるようですが、以前に比べるとクオリティの良い施設も増えてきているようです。

認知症になってしまい、家族でも対応が難しいような場合には認知症対応のグループホーム等の施設への入居も検討しなければなりません。

適切な施設を選ぶことができれば、認知症になってしまった本人も、その家族も、認知症の症状と戦っている時よりも「生活の質」を改善させることができると思います。

また、施設のスタッフも認知症になってしまった本人に対し、ごく普通に接しながらケアしていくという体制が整えられてきているようです。

この「ごく普通に」とい特別視しない接し方が重要で、「認知症基本法」の基本理念の中になる「認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう」に繋がるのではないかと思います。

 次回、「認知症基本法」の概要についてお話しさて頂きたいと思います。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希【プレミアムメンバー】
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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