認知症基本法の概要 前編

前回は「認知症基本法」をお話しする前の前段階として、認知症に関する基本事項を確認させていただきました。
今回と次回の2回に分けて「認知症基本法」の概要についてお話しさせていただきたいと思います。
「認知症基本法」は、厚生労働省の資料によると「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」となっています。
認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的かつ計画的に推進し、認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会(共生社会)の実現を推進することを目的とし、共生社会の実現の推進という目的に向け、基本理念等に基づき認知症施策を国・地方が一体となって講じていく、とされています。
認知症施策は、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、以下の①〜⑦を基本理念として行うとされています。
①全ての認知症の人が基本的人権を享有する個人として、自らの意思によって日常生活及び社会生活を営むことができる。
②国民が、共生社会の実現を推進するために必要な認知症に関する正しい知識及び認知症の人に関する正しい理解を深めることができる。
③認知症の人にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるものを除去することにより、全ての認知症の人が、社会の対等な構成員として、地域において安全にかつ安心して自立した日常生活を営むことができるとともに、自己に直接関係する事項に関して意見を表明する機会及び社会のあらゆる分野における活動に参画する機会の確保を通じてその個性と能力を十分に発揮することができる。
④認知症の人の意向を十分に尊重しつつ、良質かつ適切な保健医療サービス及び福祉サービスが切れ目なく提供される。
⑤認知症の人のみならず家族等に対する支援により、認知症の人及び家族等が地域において安心して日常生活を営むことができる。
⑥共生社会の実現に資する研究等を推進するとともに、認知症及び軽度の認知機能の障害に係る予防、診断及び治療並びにリハビリテーション及び介護方法、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすための社会参加の在り方及び認知症の人が他の人々と支え合いながら共生することができる社会環境の整備その他の事項に関する科学的知見に基づく研究等の成果を広く国民が享受できる環境を整備。
⑦教育、地域づくり、雇用、保健、医療、福祉その他の各関連分野における総合的な取り組みとして行われる。
国・地方公共団等には以下のような責務が規定されています。
①国・地方公共団体は、基本理念にのっとり、認知症施策を策定・実施する責務を有する。
②国民は、共生社会の実現を推進するために必要な認知症に関する正しい知識及び認知症の人に関する正しい理解を深め、共生社会の実現に寄与するよう努める。
③政府は、認知症施策を実現するために必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずる。
その他、保健医療・福祉サービス提供者、生活基盤サービス提供事業者の責務を規定しています。
お気付きの方もいらっしゃると思いますが、基本理念の部分を読んでいると成年後見制度の基本理念が思い浮かんでくると思います。
成年後見制度の基本理念は、ご存知のとおり、①自己決定の尊重、②残存能力の活用、③ノーマライゼーションです。この基本理念も共生社会実現を推進するためのものになると思います。
成年後見制度は本人の法律行為を手助けするための制度ですが、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」はそれも含めて大きな枠で認知症というものに対処していくための施策を策定するための法律となるのではないでしょうか。
次回、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」の後編「基本的施策」についてみていきたいと思います。
このページのコンテンツを書いた相続士
- 行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所
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