「利用区分」ってなんだ?

相続税の土地の評価においては、まずは前回のコラムでお伝えしたその土地の「地目」が何かを把握する必要があります。
 
・「地目」ってなんだ?
http://www.souzokushi.or.jp/sawada/2079
 
実際、土地の評価額を計算するうえで提出をする「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書(第1表)」では、土地の住居表示・所有者・使用者記入欄の後に、地目を選択・記載する欄があります。そのうえで、その土地が相続発生時にどのように使われていたのかを確認することになります。これが「利用区分」となります。
 
・国税庁HP:[手続名]土地及び土地の上に存する権利の評価明細書
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hyoka/annai/1470-05.htm
 
利用区分は地目のように、その土地が現状どのような状態なのか(山なのか畑なのか家が建っているのか など)、という区分ではなく、相続発生時に自宅など被相続人自身の用として活用されていたのか、他人に土地を貸してその土地に建物が建っていたのか、アパートやマンションなど被相続人自身が建てた賃貸用の建物が建っていた土地なのか、借地権が設定されている土地なのか、などなど、利用状況や権利関係によって区分されることになります。それによって、によって、相続財産としての土地の評価額が大きく変わってきます。
 
前回のコラムでお伝えしたとおり「地目」は、その土地が現状どのような状態なのかによって23の項目に分けられています。家が建っているのか、田んぼなのか畑なのか、山林や墓地など、細かく分類されています。最終的には登記情報で確認をしますが、現状を見て確認をすれば、なんとなく地目については判断ができることが多いです。
 
それに対して「利用区分」は、見た目だけでは判断することが難しくなっています。例えば2階建ての一軒家が建っていたとしても、自分の土地に自宅を建てたのか、自分の土地に他人が一軒家を建てたのか、自分の土地に一軒家を建て他人に貸しているのか、ということは見た目だけではわかりません。
 
利用区分によって相続税における土地の評価額が大きく変わる場合がありますので、登記簿謄本の確認のほかヒアリング等を行いながら、現状の利用区分を確定させていくことになります。
 
前述のとおり「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書(第1表)」には、利用区分としていくつかの項目が記載されています。相続発生時に該当地がどの区分として利用されていたかを確定させたうえで、相続税評価額を計算していきます。利用区分を確定させることが、相続税における土地の評価の第一歩といえます。

このページのコンテンツを書いた相続士

澤田 朗
澤田 朗
相続士、AFP
1971年東京都生まれ。FP事務所FP EYE代表。NPO法人日本相続士協会理事・相続士・AFP。設計事務所勤務を経て、2005年にFPとして独立。これまでコンサルティングを通じて約1,000世帯の家庭と関わる。

相続税評価額算出のための土地評価・現況調査・測量や、遺産分割対策、生命保険の活用等、専門家とチームを組みクライアントへ相続対策のアドバイスを行っている。設計事務所勤務の経験を活かし土地評価のための図面作成も手掛ける。

また、住宅購入時の物件選びやローン計画・保険の見直し・資産形成等、各家庭に合ったライフプランの作成や資金計画のサポートを行っている。個人・法人顧客のコンサルティングを行うほか、セミナー講師・執筆等も行う実務家FPとして活動中。

FP EYE 澤田朗FP事務所

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