相続手続きで最初に行うこと…戸籍謄本

 

相続開始後は色々とやることが多くて大変ですね、ある意味機械的に処理していかないと終わらないというような感もあります。

葬儀・納骨が終わり49日の法要が済んだ頃から、被相続人の遺した財産をどうするかというところにやっと目が行くのではないでしょうか。そうです、相続手続きの開始です。

相続手続きをする際に最初に用意しなければならないのは、「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」と「相続人の戸籍謄本」です。

これは「相続人は誰なのか」を確定させるために必要なものです。

「相続人は俺たち(私たち)だよ、他に誰もいないよ、確認しなくても分かるよ」という声が聞こえてくることもありますが、これは「第三者に対して証明するため」とお考えいただくと良いと思います。今回の相続に関して相続人が誰であるかを全く知らない人が、「この人たちが相続人ですね」と確認できるようにするために必要な作業なのです。

第三者とは誰の事かと言いますと、相続手続きをする相手です。例えば、被相続人名義の預貯金等がある金融機関や被相続人名義の不動産の名義変更をするための法務局、そして相続税の対象となる方は相続税の基礎控除の計算の根拠として税務署に対して証明しなければならなくなります。

法定相続情報証明制度を利用すれば、その証明書で賄え、戸籍謄本を各機関に提出する必要がなくなりますが、その法定相続情報を作成するために戸籍謄本を法務局に提出して証明しなければなりません。

ですから、まずは戸籍謄本なのです。

戸籍謄本と一口に言ってもなかなか分かりづらいというのも確かです。

最初に被相続人の戸籍の全部事項証明と出生から死亡までの改製原戸籍を取ります。そうすると、被相続人の出生から死亡までの繋がった戸籍となりますので、被相続人の婚姻の有無や子の有無が分かります。被相続人が婚姻している場合には配偶者の記載や子がある場合にはこの記載がありますので、相続人を確認することができます。婚姻もなく子もない場合には直系尊属の生存の有無の確認とともに兄弟姉妹の有無を確認していきます。このようにして相続人や代襲相続人の有無を確認していき、確認できた相続人の全部事項証明を取り、相続人を確定させます。

被相続人の家族構成によって戸籍謄本の取得が煩雑になることもあります。また、戸籍の法定保存期間が経過していて過去の戸籍はすでに廃棄されていることもあります。

相続人が自分で戸籍を取る場合には被相続人などの戸籍取得の対象者との関係を証明するものの提示が必要になってきます。例えば、自分の親であれば自分の戸籍を取ることで親子関係が証明できますので、その提示でクリアできます。代襲相続人となると更に提示する戸籍が増えるかもしれません。被相続人の兄弟姉妹の代襲相続人などというケースでは証明が面倒になることもあるかもしれませんので、専門家に依頼してしまった方が楽かもしれません。

ただし、戸籍謄本と除籍謄本や全部事項証明と改製原戸籍などの区別も説明できないような専門家を名乗る人(こういう人に当たる確率は少ないでしょうが)には依頼しないほうが得策でしょう、念の為。

戸籍謄本の取得は相続手続きの第一歩です、ここがすんなりいかないと全体的に面倒な作業に感じてしまうかもしれませんので、確実にこなしていきたいものです。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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