相続と法人保険

中小企業の社長さんで、在職時に万が一のことがあった場合のために生命保険に加入をしている方は多くいらっしゃいます。借入金の返済や事業継続のための資金準備、従業員の給与の確保など、様々な目的で生命保険が活用されています。契約形態によっては、在職中に亡くなった場合には遺族が保険金を死亡退職金として受け取り、勇退時には保険を解約して解約返戻金を生存退職金として受け取ることも可能です。一つの保険で死亡保険金と生存退職金を準備することができます。

また死亡保障以外にも、病気やけがで入院等をした時の医療保障や、がんなどの重大な疾病時に保険金が受け取れる保障、長期間働けなくなった場合に給付金が受け取れる保障など、様々な保障を準備している方もいらっしゃいます。中小企業の場合、社長さんに何かあった場合には、その後の経営に大きな影響が出ることも考えられますので、不測の事態に備えて保険に加入をしています。支払保険料は商品や契約形態によって、全額損金・1/2損金・全額資産計上など、会社のニーズによって選択することができます。

 

また、法人加入の保険で、個人の相続対策目的も兼ねた保険に加入している方もいらっしゃいます。在職中は死亡保障として会社や家族を守るための準備をして、勇退時に解約をして現金を生存退職金として受け取るのではなく、保険契約そのものを退職金として「現物支給」もらうこともできます。契約例を挙げると、

契約者:法人 被保険者:社長 保険金受取人:法人

だった契約を、退職時に、

契約者:社長 被保険者:社長 保険金受取人:社長の遺族

とすることで、退職後の社長個人の死亡保障を準備することができます。こちらも退職金として受け取ることになるので退職所得の対象となりますが、所得額はその保険の「解約返戻金」の額となります。ちなみに保険契約は契約者と受取人は変更できますが、加入時の年齢・性別・健康状態などで保険料が決まるため、被保険者は変更できません。相続対策として準備する場合には一生涯の保障を準備する「終身保険」が適していると思います。

また死亡保障に限らず、先に挙げた医療保障なども契約者変更をすることで、保険契約を退職時に社長個人に渡すことができます。保険商品によって税務の取り扱いが異なりますので、活用する際は税理士さんなどの専門家にアドバイスをいただいたほうが良いです。

 

このように中小企業の社長さんは、法人の資金を活用して個人の保障を準備することも可能となっています。契約内容によっては保険料が会社の経費となり、法人税額の軽減にもつながります。

 

相続士協会では、今回お伝えした保険に限らず、中小企業の経営者の方の相続・事業承継のご相談も承っております。法人やご自身の今後についてお考え・お悩みの場合には、一度ご相談いただければと思います。

・NPO法人日本相続士協会
http://www.souzokushi.or.jp/contact

 

このページのコンテンツを書いた相続士

澤田 朗
澤田 朗
相続士、AFP
1971年東京都生まれ。FP事務所FP EYE代表。NPO法人日本相続士協会理事・相続士・AFP。設計事務所勤務を経て、2005年にFPとして独立。これまでコンサルティングを通じて約1,000世帯の家庭と関わる。

相続税評価額算出のための土地評価・現況調査・測量や、遺産分割対策、生命保険の活用等、専門家とチームを組みクライアントへ相続対策のアドバイスを行っている。設計事務所勤務の経験を活かし土地評価のための図面作成も手掛ける。

また、住宅購入時の物件選びやローン計画・保険の見直し・資産形成等、各家庭に合ったライフプランの作成や資金計画のサポートを行っている。個人・法人顧客のコンサルティングを行うほか、セミナー講師・執筆等も行う実務家FPとして活動中。

FP EYE 澤田朗FP事務所

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