今後生命保険は、相続対策として活用できるのか?

前回のコラムでお伝えしたように、予定利率が引き下げられた保険については、契約形態によっては保険機能の恩恵を受けられない場合があるということをお伝えしました。

もはや保険ではない?予定利率引下げ後の保険はこうなった。

一生涯の保障を準備できる円建ての「終身保険」については、例えば500万円の保障を準備するためには、長生きをした場合には500万円以上の保険料を払わなくてはいけないこともあり得るということです。

 

こちらは以前のコラムでお伝えしましたが、保険会社は契約者が支払った保険料をおもに国債(日本国債)で運用をしています。ご承知のとおり現在の国債の金利はマイナスにはなっていないものの、手元の資金を国債で運用しても(国に貸していても)スズメの涙ほどしか増えない状況はここ十数年変わりません。

・長期金利推移グラフ(日本相互証券株式会社)

http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/marketdata01.html

このような状況が続いているために、各保険会社も運用に行き詰まり予定利率を下げざるを得ないことになったという側面は否定できません。

 

では生命保険、とくに一生涯の保障を準備する終身保険は相続対策として活用することができないのかというと、必ずしもそうではありません。保険会社によっては円建てではなく外貨建ての終身保険を販売している会社があり、保障を準備するなら円建ての商品よりも保障効率が良い場合もあります。

 

「なんで保険を外貨で準備しなくちゃいけないの?」

 

という疑問や質問をいただくこともありますが、その答えの一つとして、円建ての商品より外貨建ての商品のほうが「予定利率」が高いということが挙げられます、

 

わたしは外貨建ての保険を推奨するわけではありませんが、今の時点で保険、とくに終身保険に加入をするならば、円建ての終身保険に加入するよりも外貨建ての保険に加入するほうが、ほとんどの保険会社の商品で毎月の保険料負担も万が一の保障額も効率が良くなります。

 

為替が関係してくることですので一概に良いとはお勧めしませんが、現時点での円建て商品と外貨建て商品とを比べると、毎月の保険料も保障効率も歴然とした差が表れると思います。円建ての保険が外貨建ての保険よりも魅力ある商品になるのはいつの日になるのでしょうか。

このページのコンテンツを書いた相続士

澤田 朗
澤田 朗
相続士、AFP
1971年東京都生まれ。FP事務所FP EYE代表。NPO法人日本相続士協会理事・相続士・AFP。設計事務所勤務を経て、2005年にFPとして独立。これまでコンサルティングを通じて約1,000世帯の家庭と関わる。

相続税評価額算出のための土地評価・現況調査・測量や、遺産分割対策、生命保険の活用等、専門家とチームを組みクライアントへ相続対策のアドバイスを行っている。設計事務所勤務の経験を活かし土地評価のための図面作成も手掛ける。

また、住宅購入時の物件選びやローン計画・保険の見直し・資産形成等、各家庭に合ったライフプランの作成や資金計画のサポートを行っている。個人・法人顧客のコンサルティングを行うほか、セミナー講師・執筆等も行う実務家FPとして活動中。

FP EYE 澤田朗FP事務所

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