寄与分を主張された時に考えること

 

相続が争族と揶揄される原因の一つに寄与分の問題があります。寄与分で争いになる主なものは「親の介護」です。

複数人の子供がいて、そのうちの一人が親を介護していた場合に、相続開始時に他の子供たちとの相続分の公平さに問題が生じてくるのです。

子供が複数人いても誰も親の介護をしない場合もありますが、その場合は別の問題が生じる可能性がありますので今回は省いて考えます。

現在日本は超高齢社会に突入しています。生活環境や医療の発達などにより平均寿命も伸びている反面、老老介護などの問題が出てきています。年老いた親を年老いた子供が介護するなど現代社会ならではの問題ともいえるでしょう。そんな中、厄介な問題として「相続」というものが絡んできます。平等教育で育ってきた子供たちは親の相続の時には“兄弟姉妹皆平等”という意識が当然のごとく働きます。

しかし、この意識にこそ落とし穴となります。

複数人の子供がいた場合に、誰かが親の面倒を看ていた度合いが強い、あるいは、単独で介護をしていたなどの場合には、先述しましたように公平さに問題が生じてくる可能性があります。

介護が大変であればあるほど、その度合いは大きくなります。

親の介護をしている者は、そうでない者に比べると自分や家族の時間を大幅に削っているのも事実ですが、介護中はその意識はあっても押し殺すようにして、介護と自分や家族の生活で精一杯であるという状況がほとんどだと思います。

そして、その意識が一気に溢れ出てくるのが、介護をしていた親が亡くなり肩の荷が降りた時、そうです、相続開始の時です。

相続が開始すると、ご存知のように、被相続人が所有していた財産、つまり遺産です、これをどうするか決めなければなりません。遺言があればそれに従うのが原則ですが、遺言がない場合には共同相続人全員で話し合って決めなければなりません。いわゆる遺産分割協議です。

ありがちなケースで言えば、この遺産分割協議の時に、「兄弟姉妹皆平等に分けよう」という意見が、特に、介護をしていない者から出てくるということです。

この時に介護をしてきた者には“平等?何が?みんな何もしていないじゃないか!”という意識が溢れてきます。介護をしてきた者の寄与分の主張が始まるのです。

介護をしていない者には介護をしてきた者の、精神的・経済的苦労や日常の繁忙さなどは分かりません。ですから、寄与分の主張を拒否する者もいることでしょう。ここから争族が始まる可能性があるのです。共同相続人間で話し合いがまとまらなければ、調停・審判という形で家庭裁判所の介入が始まることもあります。こうなってくると泥沼です。お互いに精神的疲労も極限を迎えるような状態になりかねません。

ですから、このようにならないためにも、共同相続人間での遺産分割協議の時に寄与分の主張が出た場合には、ハナから拒否するのではなく、状況をよく聞き、寄与者の思いを汲んであげる努力も必要です。自分がしなかった自分の親の介護を他の兄弟姉妹がしたのですから、それなりの報い(この場合には、自分がしなかったことをしてくれたのだからお礼の気持ちと言ってもいいかもしれません)を表さなければならないと思います。

親の介護が絡んだ場合の寄与分の主張には、許容の心を持って接する必要があるのではないでしょうか。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、相続士、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続・事業承継に特化した事務所を開設、同時に、相続支援ネットにメンバー加入。「円満な相続」をモットーに、遺産分割対策支援・遺産分割協議支援など相続・事業承継支援を行う遺産分割に特化した相続士。あらゆる層の相続において問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応には定評がある。日本相続士協会理事、日本相続士協会試験委員、相続士上級養成スクール専任講師。
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