遺留分侵害の相続分指定は無効か?

最近は相続に関してあちらこちらで情報発信が行われていますが、以前であればなかなか触れられなかったテーマが話題として登るようになりました。

例えば、遺留分。

遺留分は遺言を作成する上では欠かせないテーマですが、内容的に理解し辛いという面もあり話題とする専門家もあまりいませんでした。

しかし、遺言に関する情報発信が一通り済んでしまうと、次に発信する情報がないのか、チャレンジ精神で難しい話題に踏み込んで来るのか、遺留分に触れて来ることが徐々に増えて来ました。

しかし、残念ながら少し間違えた情報発信をしている専門家も少なからずいるようです。

そこで今回は、遺留分について、関連する遺言と絡めてお話ししたいと思います。

そもそも遺留分とは何かということですが、遺留分とは、相続財産の中から一定の相続人に対して法律上必ず留保されなければならない一定の割合のことを言います。

一定の相続人とは、被相続人の配偶者、直系卑属、直系尊属のことで、遺留分権利を有する人のことを遺留分権利者と言います。被相続人の兄弟姉妹には遺留分権利がありませんので、遺留分権利者ではありません。

遺留分の制度は元々、法定相続主義と遺言の自由との兼ね合いから生まれた制度ですが、難しい話になりますので詳細は省きます。

遺言作成が一般化されて来た今日では、しっかりとした知識を有さない人も手軽に遺言が作成できるように、様々なマニュアル本や遺言作成ツールなどが販売されています。また、専門家による遺言作成支援なども日常化しているようです。

ここで問題となるのが遺言と遺留分との関係です。

遺言は遺言者の最終の意思表示と言われ、法律効果を生む遺言事項というものがあります。この遺言事項の中の、相続分の指定・分割方法の指定という事項が、遺言を作成する理由として一般的に知られている「遺産を誰にいくら」というものです。

遺言者は自分の財産を遺言により自由に処分できますから、遺言によって全財産を寄付したり、お世話になった第三者に遺贈することも可能なわけです。しかし、そうしてしまうと、遺言者に相続人がいた場合には相続人が困る結果になることもあります。

また、通常であれば相続するであろう財産が他に行ってしまうのは、相続人が有する権利を侵害されてしまうわけです。そこで、法律はこのような事態になった時に、遺言者の意思を尊重しながらも、相続人の権利保護のために財産の一部を取り返す権利を与えたわけです。それが遺留分の制度です。

では、この遺留分を侵害するような遺言を作成した場合には、その遺言は無効になるのでしょうか。

結論から言いますと、例え遺留分を侵害していようと、それだけの理由でその遺言が無効になることはありません。

中には、遺留分を侵害しない範囲でしか遺言による指定はできない、と言っている専門家もいるようですが、それは間違いですから惑わされないように気をつけてください。

例え、遺留分を侵害しようとも全財産を遺言により指定することが可能です。できれば、相続人が困らないように相続人の遺留分を考慮した遺言内容にしましょうということです。

遺留分を侵害した遺言が有効であるのなら、侵害された相続人の権利はどうなるのか、ということですが、先述した通り、取り返すことができるのです。これを遺留分減殺請求権と言います。

遺留分を侵害された相続人は遺留分減殺請求権を行使して、自身の持っている最低限保証された権利分の遺産を取り返すことが可能なのです。

遺留分減殺請求権の行使方法などの詳細はまたの機会にお話ししたいと思います。

遺言作成と遺留分の関係は難しいことです、自分だけで判断せずにしっかりとした専門家に相談することをお勧めします。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、相続士、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続・事業承継に特化した事務所を開設、同時に、相続支援ネットにメンバー加入。「円満な相続」をモットーに、遺産分割対策支援・遺産分割協議支援など相続・事業承継支援を行う遺産分割に特化した相続士。あらゆる層の相続において問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応には定評がある。日本相続士協会理事、日本相続士協会試験委員、相続士上級養成スクール専任講師。
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